20分後に校門に辿り着いた。

しかし、誰もいない。

「やっぱりか」

後悔。

そして、楓や刹那に余計なことを言い過ぎたと反省しているところだ。

「はあ、悪いことしすぎたな」

「ほんま悪いヤツや」

「そうそう、極悪人だぜ」

「ほんま救いようがないわ」

「おい、コラ」

いつの間にか二人の会話が成り立っていると思い、後ろを見れば刹那が睨みながらこちらを見上げている。

「お前な!」

「ずっと待ってたんやからな!」

俺が続きを言う前に刹那が自分の境遇を語りだし、封殺された。

刹那の目元には涙が溜まっている。

「泣きながら待ってたのかよ?」

「ウチは恭耶との約束、破りたくないんやもん!」

幼い頃の刹那の面影がある。

「悪かった」

素直に謝り、刹那の頭を撫でる。

刹那は鼻を鳴らしながら、ムスっとしている。

楽しみにしていた一日が膨れっ面で過ごさなくちゃならないのは、嫌な思い出でしかない。

「ホラ、行くぞ」

「あ」

刹那の手を握って歩き出す。

「お前は泣き虫だな」

「誰のせいやと思ってるねん!」

突くような蹴りが脹脛に襲い掛かる。

「いてえ!もっと優しい蹴りにしろよ!」

「アホ!出来るか!」

今までの鬱憤を晴らすが如く、何度も足を蹴り続ける。

しかし、その表情は柔らかかった。