刹那と歩くのも久しぶりだ。

いつ振りぐらいだろうか。

新鮮味があるくらいだから、結構前になるのだろう。

何事もなく進んでいくと、皐月鳴高校についてしまった。

「俺とお前が一緒に通う高校だ」

「何で最初が学校なんや!」

誰も知ってる奴もいないだろうし、先生との顔合わせもしておかなければならない。

「自分が通う学校って気になるだろ?」

「もっと二人で思い出に残るような場所とかが良かったのに」

「何だ?」

小声で何を言っているか聞こえなかった。

「何でもないわ!それにしても広い学校やな」

「日本一大きいって噂も立ってるぜ」

毎日通ってる俺でも、全部を回ったことがない。

もう少しコンパクトになると、疲れなくて済むんだけどな。

早速、職員室に向かう。

しかし、校舎の入り口から10分はかかる。

刹那は5分程度のところで歩くスピードが減速していた。

「はあ、はあ、何々、この学校」

「おいおい、まだ半分だぜ?」

「まだそんなにあるん!止めて欲しい、わ」

小さい体には酷なのか?

でも、運動不足にも程があるような気がするぞ。

「ホラ」

俺は刹那の前に背中を向けてかがむ。

「何よ?」

「負ぶってやろうとしてるんじゃねえか」

「別にええわ!そんなん、恥ずかしいやんか!」

「減るもんでもないし、気にしなきゃいいだろ」

いつもは態度でかいのに、シャイな部分も結構あるな。

心の声を表に出して言えるはずはもなく黙っていると、俺の横を通り過ぎて歩いていく。

「一人で歩けるし、子供扱いすんな」

「人の親切は素直に受け取るもんだぜ」

俺は立ち上がって、刹那の歩調に合わせて隣を歩く。