服を着替えて、食卓で二人無言のまま飯を食べている。

頬にはもみじ饅頭と言わんばかりの後が赤々と現れている。

気分が良いとは言えない。

いつも食べている飯でさえ、不味いと感じるくらいだ。

苛立ちが隠せず無言で飯を食っていると、刹那が気にかけて声をかけてくる。

「なんか気分悪そうやな」

自分でわかっていないのか?

「この頬の赤いの、誰がやったかわかるよな?」

「それ、格好ええと思うで」

ありがとうなんて絶対に言わない。

街中で歩けば、笑いものになるのがオチである。

「俺の安らかな一時を潰して、そりゃないだろ!」

「元気いっぱいなんはええけど、どならんでもええやん。あそこで起きん恭耶が悪いで」

「俺に恨みでもあんのか?」

「恭耶のせいで、この年になっておしっこ漏らしたやん」

失禁するほど、驚かした覚えなんかない。

このままいけば、更に何かを言われそうである。

こっちが一方的に悪い感じになるのだが、面倒なので突っ込まないことにした。

「そういや、町の事とかよく知らないだろ?」

俺が折れて、話の流れを変えるしかないようだ。

「うん。どこに何があるとか全くわかれへん」

「んじゃ、見に行くか?」

「ほんま!?」

「失禁しない程度に案内してやるぜ」

「穿り返すようなこと言うな!」

飯の途中でも構わずビンタを食らう。

両方の頬にもみじ饅頭をつくってしまったようだ。

口の中を切ったみたいで、ご飯を食べるのも一苦労である。

「恭耶は女の子に対して、デリカシーがないねん」

「女の子?幼女だろ?」

次は真正面からグーパンチを受けたのは言うまでもない。