第七世界

「テメェ!」

目を赤く光らせた鬼人。

逃げる事よりも、光蔵を仕留める事を選ぶ。

拳を握り突きを出す。

だが、当たらず柄で叩き落され、刃を首筋に向けられる。

「動くな」

刃が首の皮を切り、赤黒い血液が流れる。

「殺すつもりかよ?」

「殺して欲しいか?」

鬼人は光蔵の目を見て、躊躇いがない事を知る。

「仮面はどこだ?」

「知らねえよ」

「そうか」

首に押し込まれる刃と同時にもう片方の足に杭が打ち込まれる。

「はあ、はあ」

鬼人になったとしても痛みは人と同等である。

光蔵からのプレッシャーと痛みで鬼人は気が狂いそうになる。

両足の甲からは血が溢れ、刃は徐々に徐々に首の肉に食い込む。

「ま、って」

刀の進行が止まる。

「仮面の行方はわからねえ。でも、これだけは言える、仮面を被った途端、俺は人を狩りたいと思った。それで、人の血を食いたいとも」

「そうか」

「言っただろ、この杭を抜いてくれ!この銀の杭、半端じゃねえんだ」

光蔵は無言で右腕にも杭を投げつけ、回避する事も出来ずに刺さる。

「尚更、ここで逃がすわけには」

光蔵が処遇を考えていたところで、男の背後から腕が胸を貫通する。