「それでもええ。一人は嫌や」

出来るだけ口にチャックをしておくか。

「じゃあ、寝るか?」

「うん」

元気はないけども、帰ってきたときよりは戻ってきている。

自分の部屋に入ると、刹那も入ってくる。

「俺は床で寝るから、お前はベッドを使え」

余りの掛け布団ぐらいはあったはずだ。

「離れてたら意味ないやんか」

「は?」

「一緒って、こういうことや!」

俺は蹴られてベッドに倒れこむと、刹那が横に寝転がった。

「おいおい、ちゃんと男と女ということを考慮して、取った案なんだぞ?」

幼稚園児扱いされるが嫌だというから、床とベッドで別れてやったのに。

結局、脳みそは園児並なんじゃねえか。

「うるさい!」

隣からの秘孔攻撃にもだえ回る。

「わかった。ひでぶする前に止めてくれ」

俺の抑止によって刹那は置物のように静かになった。

「疲れてるんだから寝ろ」

「久々やのにごめんな」

俺が壁の方に向くと、小声で囁いてきた。

一瞬、革命でも起きたのかと思ったが、違うみたいだ。

「久々なんだから、暴れたくなるんだろ?」

「全部、恭耶のせいやんか」

謝るのに強気、行動が矛盾してるよな。

「俺も至らぬところがあった。ごめんな」

「うん」

そこは素直に頷くところじゃねえだろう。

心の中でツッコミ続けながらも、刹那の声が聞こえなくなった。

本当に疲れていたから眠ったんだろう。

俺も寝るとしよう。