楓の見合いをぶっ潰すはずが、俺の部位が潰されている。

「でも、死なせないし、約束は、守る」

「あほ、自分が死にそうになってるのに、何言ってるねん」

刹那は涙を流している。

傷の痛みからではないだろうと思いたい。

刹那は悔しさのあまりに、歯で唇を切っていた。

「皆木さんはああいっているが、君達はまだ抵抗するか?」

牙狼が背後に歩いてくる。

「抵抗せんかったら、何もせえへんのか?」

「抵抗しなければの話だ」

刹那はきっと抵抗しないを選ぶだろう。

そうなれば、約束は守られなかった事になる。

俺は、ここで約束を守らなければ、その場しのぎになってしまう。

仕方がないなどというのは言い訳でしかない。

「刹那ぁ、まだ、抵抗しない、を選ぶんじゃねえぜ」

俺の腕から流れる血が止まらない。

血がなくなって死ぬのか。

血?

そういや、俺は吸血鬼によって血の成分が吸血鬼よりになってるはずだったな。

俺の中の鷹威の血は、吸血鬼の成分が入ったことで薄まっているといっていい。

しかし、刹那の中の鷹威の血は覚醒していると見ていいし、濃くなっている。

覚醒するかどうかはわからないが、成分の中和をする事が出来るかもしれない。

俺の近くには刹那の顔があり、唇からは血があふれている。

「刹那、俺は思いついた、ぜ」

「何をや」

「お前にぶん殴られるかもしれねえけどよ、これくらいは許せよ」

刹那には死んで欲しくないし、俺も死にたくない。

「抵抗しないを選ばなかったようだね」

「やりたいことがあるんでよ!」

俺は刹那の血液を摂取するために、刹那にキスをする。