第七世界

「どうやら、君に皆木さんのことを御しきれるとは思わない」

「あんたなら出来る保証があるってえのか?」

「ある」

どこから出てくる自信なのかね。

よっぽどの自信家か、馬鹿なのか。

「私には一族の繁栄という目的がある。そして、彼女を幸せにする自信もある」

自信のある瞳は変わらないが、見合い相手は一つのミスを犯した。

「ああ、その時点であんたはダメだ」

「何がダメなのか、聞きたいところだ」

「一番目に一族の繁栄なんていう物を言い出した時点で落選だぜ」

ただでさえ、じゃじゃ馬の楓にとって、自分のことを最初に出さない時点で納得しない我が強い部分がある。

「君は私の事をよく分かってるじゃないか。君となら結婚してやってもいいんだがな」

楓の場合、結婚は人生の墓場というか、地獄といったほうが正しいだろう。

「君には後で山に芝刈りにいかせてやろう」

この家の近くには大きな山がある。

皆木家の土地だろうが、手入れはあまりされていない。

「この現代社会に御伽噺のじじいのような生活しろっていうのかよ」

「うむ、君には似合っている文化だがな」

「そんな逆行してる生活はお断りだ」

怪しい人物として通報されるのがオチだ。

「一族の繁栄といったことについては謝罪しよう。本人の意思を尊重はしたいが、彼女は私にとって必要な女性だ。それを譲る事は出来ない」

「一族に、じゃねえのかよ?」

「一族以上に、だ」

強く出てきたな。

しかし、見合いとはいえ、そこまで繋がりがあったわけでもない女に対して、そこまで執着する理由は何かあるのか。