「待って!名前くらい聞かせてや!」
すがりつくように、身体が前に出る。
「礼の一つも出来ん者に名前を教える必要はない」
(こいつ、しばいたろか)
刹那は殴りたくなる衝動を抑えて、額をぴくぴくさせる。
恩を仇で返すようなことだけはしたくない、そんな気持ちがあった。
「あ、ありがとう。名前教えてくれへんかな?」
「乾光蔵だ」
刹那の中にある助けてもらった時に見たイメージは去っていた。
「今夜は風が強い」
乾は学ランを脱ぐと刹那に投げる。
そして、Tシャツのまま去って行く。
乾が制服を寄越したことによって、刹那は自分が下着だという事を思い出す。
「うわ!大切にしてた服やのに!」
恭耶に会うためにおめかしした服は、一夜にして無残な形となってしまった。
身を隠すように、学ランを上から羽織る。
まだ寒さの抜けぬ中、それで少しだけ凌げた。
「無性に腹立つ奴やったけど、根はええ奴なんかな?」
乾の株は上下を繰り返す。
「ま、ええわ。はよ帰ろ」
寝ている親父達の腹に蹴りを入れて、公園から逃げるように出て行った。
すがりつくように、身体が前に出る。
「礼の一つも出来ん者に名前を教える必要はない」
(こいつ、しばいたろか)
刹那は殴りたくなる衝動を抑えて、額をぴくぴくさせる。
恩を仇で返すようなことだけはしたくない、そんな気持ちがあった。
「あ、ありがとう。名前教えてくれへんかな?」
「乾光蔵だ」
刹那の中にある助けてもらった時に見たイメージは去っていた。
「今夜は風が強い」
乾は学ランを脱ぐと刹那に投げる。
そして、Tシャツのまま去って行く。
乾が制服を寄越したことによって、刹那は自分が下着だという事を思い出す。
「うわ!大切にしてた服やのに!」
恭耶に会うためにおめかしした服は、一夜にして無残な形となってしまった。
身を隠すように、学ランを上から羽織る。
まだ寒さの抜けぬ中、それで少しだけ凌げた。
「無性に腹立つ奴やったけど、根はええ奴なんかな?」
乾の株は上下を繰り返す。
「ま、ええわ。はよ帰ろ」
寝ている親父達の腹に蹴りを入れて、公園から逃げるように出て行った。

