それが本当でないにしろ、面倒くさいな。

「ま、いいけどよ」

立ち上がり、再びベッドの上に寝転がる。

「あー、いてえ」

背中の治りはそこそこ早いと思っていたが、そうでもないみたいだな。

妖刀だからか。

しかし、乾があそこにいた理由はなんだろうか。

妖刀と関わっていそうな感じがあるのだがな。

家のほうで何かがあったのかもしれない。

刀を所持しているだけあってな。

しかし、乾も不思議な事に関わる事が多い。

吸血鬼の館の時もそうだった。

考え事の途中で家のチャイムが鳴る。

刹那が出てくれるだろうから、俺はゆっくりと休む事にした。

「はあ!?何であんたが来るんや!?」

という刹那の声でおちおち眠る事も出来ない。

あんたというのは、誰の事だろうか。

刹那にとって予期せぬ人物で、あまり来てほしくない人物なのだろう。

二分程度、静かになり誰かが二階へと上ってくる気配がする。

そして、俺の扉にノックをする音が室内に響いた。

「いいぜ」

扉を開けた先には、先日まではモブだった香坂恵美子が立っていた。

姿かたちを説明するのを忘れていたが、恵美子は制服を崩して着ており、髪も茶髪に染めているようなやんちゃな女だ。

それがいきなり変わるという事もない。

無駄なポリシーを持っているようだ。