第七世界

「はあ?こっちも用事あるんだけど」

「お前の用事なんざ今日を楽しむだけの用事だろうが。ちった我慢しろ」

「何それ?鷹威って学校じゃ最悪って噂で通ってたけど、その通りだね」

「今作った噂など、俺が信じると思うか?」

さっきまで知らなかった男の噂を、調べる人間の気がしれない。

むしろ、恵美子がそんな面倒くさい行動に出るなどとは思えない。

「もお、最悪」

「お前がな」

「はあ?」

「文句ばっかり言えば、全てが変わると思うんじゃねえよ。文句言ったところで開放されるなら俺だって文句言うわい。あの暴君にな!」

「ほう、君は私に言いたい事が山ほどあると言いたいらしいな」

教室の扉の前で、楓が帰り支度をして待っていた。

「ちょっと待て、帰る気満々じゃねえかよ」

「そうだ、帰りついでにやるべき事だからな」

「先生、こんな時間まで待たせる必要があったんですか?」

「ある。君に楽しい思いをさせてやるための加害授業だと思ってくれればいい」

いや、文字がとてつもなく物騒なんだが。

本気で危ない授業をするつもりなのだろうか。

そういえば、今朝、乾が夜には出歩くなといっていた。

もう、夜に近づいている。

「おい、楓、夜は出歩くのは危険なんじゃないのか?」

「そんなものは関係ないな」

「おい、生徒の命の事を考えないのかよ!」

「大丈夫だ。君はタフだからな」

「何の根拠にもなってねえ!」