第七世界

「はあ、はあ、あんた、私が、女って分かってる?」

四つんばいになりながらも、息を切らす女。

「なめ腐った態度の野郎に性別なんて関係ねえよ」

「ち」

「ああ?」

「わ、分かった、分かったから」

「お前が話しにくいのは、自己紹介をしてないからだな。よし、自己紹介から始めよう」

「自分の名前から言えば?」

「お前が、そんなことを、言える、立場だと、思って、いるのか?」

頭をつかみながら、握力をかけていく。

「いたたたた!香坂恵美子!二年B組!」

「まさか、お前と俺がタメだったとはなあ」

「嘘、まじ、こいつ、タメなの?」

「こいつ?」

「だ、だって、名前知らないし」

「鷹威恭耶、同じ二年B組」

まさか、同じクラスメイトだったとは。

影が薄いモブほど興味がわかないというものだ。

今まで背景だったもんなあ。

向こうも、大して仲間うちでしか興味がないと見た。

「お前と俺がクラスメイトなら、もっと交流しなけりゃならんよな?そう思わないか?」

「ぜんぜん」

「思うよな?思わないと、お前がやってる事を楓に話すぞ」

「皆木先生に話したところで何かするわけじゃないし」

「お前の認識の低さと視野の狭さは井の中の蛙どころじゃねえな」