第七世界

「わかったら、早く手離しや」

「今離したらさ、お前どっか行くだろ?」

「当たり前や、他に何があんねん」

「そうだけどよ。何となく離したくないというかなんと言うか」

「何わけわからん事いってるねん」

「スキンシップって奴も必要だろ?」

「はあ?いつも嫌ってほどしてるやろ」

「いやあ、今日は二人のスキンシップ記念日だよね」

俺は明後日の方向を見ながら、笑顔で言う。

「記念日って何や!記念日やったら、ボクに何か買ってくれるんか!?」

目を光らしながらも、ほしい物を頭の中で浮かべているようだ。

ほしい物なんてあったのか。

刹那はブランド物に手を出すという気はないだろう。

しかし、ブランド物でないにしろ、高い物はある。

電化製品を買えと言われれば、助かった財布の命もなくなってしまうだろう。

「いいぞ。お前がほしい物を買ってやろう」

「恭耶にしては気が利くやん」

「ただし、お前が話すのならな」

「何や、条件を出してくるなんて、卑劣な男やな!」

「卑劣でも何でもいいわい。とにかく、何があったか、具体的かつ分かりやすく話せ」

「恭耶、さっき言ったことは確かやろうな?」

「ああ?お前の好きな物を買うって奴か?」

「そうや!嘘ついたら、今ほしい物の三倍の値段の物を買ってもらうんやからな!」

「お前のほうがよっぽど性質が悪いと思うが、いいだろう」

これで何とか真相にたどり着く事が出来そうだ。

今日のために、聞き出すスキルを上げておいてよかったぜ。

聞き出すスキルが何なのかを、聞かれても答えようがないがな。