第七世界

髪を引っ張るとか、引っかくとかいう可愛い部類ではない。

刹那が繰り出すのは殺人術である。

拳を放ち腹を殴ったり、華麗に回避しながら廻し蹴りを繰り出したり。

小さい体からは繰り出される物とは思えない物だ。

いや、もうね、誰にでも繰り出すのはやめなさいという話だ。

俺専用といっていたが、よほど腹が立ったのだろう。

あっという間に、周りの女生徒を地に伏せさせた。

当初の弱々しさはどこにいったのか。

「あんたら、今度アホな真似したら、こんなもんじゃすまへんからな」

刹那は苛立ちを隠さずに、俺の方向に歩いてくる。

「やばいな」

俺は刹那に見つからないように逃げようとするが、刹那が走り始める。

「あんたは、さっきから何こそこそ見とるんや!」

「何故気づいてる!」

とび蹴りを食らいながらも、俺は地面を転がった。

「刹那、お前、何してたんだよ」

女生徒だ倒れている中、俺は立ち上がる。

「恭耶には関係あれへん」

「関係あるとはいいがたいけどよ、あんなにお前が怒るなんて気になるじゃねえかよ」

「恭耶はいらん事考えすぎや」

刹那が俺の横を通り過ぎて、歩いていこうとする。

「必要だ」

俺は刹那の腕をつかんだ。

「はあ?何や、いきなり」

「お前が一人で抱え込むなんて事も気に入らねえんだよ」

「あんなん抱え込んでる内に入らへん。もう解決した事や」

いつもながらに強気だよな。