「席についてない奴は、今日、居残りな」

楓が入ってくるなりなんなり、とんでもない事を言い出した。

しかも、座ってないのは席を取られた俺だけである。

刹那も、さっさと座っていた。

楓の奴、千里眼で心を見てやがったな。

「俺の楽しい放課後を返せ!」

「君は駄目な人間だな」

「点数ばっかり引いて、無条件で人の時間を取る人間は駄目な人間じゃねえのかよ?」

「教師を敬わない人間の時間など安いものだ」

「どんな屁理屈だよ!」

「しかし、君はまだ座ってなかったのか?」

俺の言い分を無視し、どうでもいいという眼差しでHRを始めた。

「ちょっと待て、俺の席を用意しろよ」

「君は立ってでも勉強できるだろう」

犬子の紹介をする事もなく、HRを進めていった。

ただ単に用意するのが面倒なのだろう。

本当にどうするんだよ。

また、俺が悪いみたいな流れになってるじゃないか。

「犬子、俺の席をさっさと返しやがれ」

「何言ってるの?ここは私の席でしょう?」

「お前、今日来たばっかりだろうが!」

「はあ、やだやだ。人の物を自分の物だと勘違いする奴っているよね?」

人をどこかのガキ大将みたいに言いやがって。

「無駄口を聞いてる男子は夜まで居残りな」

「ふっざけんな!何で俺だけみたいになってるんだよ!」

もうやだ、このクラス。

佳那美のクラスに左遷されたいよ。