「キザなやっちゃ」

何が起こったかを知ったような感じではあったな。

乾の言う事だから、間違えでもないのか。

「おい、刹那、時間がねえぞ」

「点数引かれるのは恭耶だけやろ」

「馬鹿野郎、あの暴君は鷹威家には厳しいんだよ」

「君は点数を引かれるのだけでは足りないようだな」

楓が赤髪を靡かせながら、学校へと歩いていく。

「普通の教師は点数も引かないし、学校の仕事も押し付けたりしねえよ!」

俺と刹那は楓に追い抜かされまいと、走る。

「君は喜んでやっているものだと私は思っていたがね」

「誰がやるか!人をマゾにしたてあげるのはやめろ!」

「今朝も随分とオアツイ様子だったじゃないか」

人の家を覗いているかのような言い草である。

「恭耶のアホ!変な噂が立ったらどないするねん!」

「お前が一方的にボコボコにしたんだろうが!」

しかも、余計な事を言っているのは、楓じゃないか。

付き合ってられないと、俺は急いで教室に向った。

「ハロウ」

「黙れモブ」

教室に入るやいなや、モブの顔を見たくないので顔面に蹴りをかまして回避する。

「ふう、奇跡だぜ」

この後で楓に点数を引かれる恐怖を味わいながら時間を過ごさなければならないのか。

世の中の理不尽さを噛締めながら席に座ろうとする。

「はあい、恭耶」

「何で、お前がそこにいる?」

俺の席に座っていたのは、制服を着た犬子であった。