黒淵眼鏡の海江田がこちらを見る。

「んー、何だい、君は?」

「てめえ!肩ぶつかっただけで、そこまでするか!?」

「僕の肩にぶつかったんだぞ?それだけで死に値する。それに、君には関係のない話しだろう?」

「やりすぎてるお前を見過ごせないんだよ。そいつはわざとぶつかったんじゃねんだろ?そこらで許してやったらどうなんだ?」

「こいつに理解させてるだけだよ。自分がどんなに矮小で愚かか、身にもってね」

こいつ、狂っている。

どうかしないと、ほんとに死んじまう。

そうなると手は一つ、こいつをぶっ倒す!

「てめえに愚かなのは誰かを解らしてやるぜ」

俺は海江田に殴りかかる。

海江田は余裕な顔で、待ち構えている。

この余裕は何だ?

不安になりながらも、拳をフックで振るう。

「くっくっく、解ってないねえ」

背中から棒を取り出した海江田が、馴れた手つきで拳を叩き落とす。

「ぐあ!」

引いた拳の甲を見てみると、血に染まっている。

容易に相手に突っ込むものじゃないな。

拳に気をとられていると海江田の姿が目の前まで迫っており、棒を突き出していた。

「ち!」

顔面狙いの突きを頭を振って避けたが、頬を掠って擦り傷を作る。

「中々やるねえ。でも、戦ってる最中に気を抜いちゃいけないよ。愚かなのを理解させてくれるんじゃなかったのかい?」

「本気を出してないだけだ!」

「おやおや、負け惜しみかい?余裕がないのが見え見えだよ」

海江田の言ってる事は正しい。

今のままじゃ負けるかもしれない。

登場して初めての戦いが悲惨な状況じゃ、主人公の顔が立たないな。

とんずらは嫌いだが、体勢を立て直さなくてはならない。

だが、生徒が周囲にいると、退く事ができない。