そして、人は敬意と畏怖を表し、おれのことをこう呼んだものだ。「典型的中二病患者」、と。

 妹にすら将来を危惧されたおれはしかし、立派に中二病の症状を人に見せなくなり、世間的には立派といわれる某国公立大学の工学部に入学する事が出来た。

 一応は世間に認められる位置には立てたのかもしれない。そして、誰からも褒められる、存分に誇れるしょーもない人間におれはなったわけである。

 短い人生だったなあ、とおれは嘆いていた。実に短い人生だった、と。

 しかしそれでも、友達と飲んで騒いでなんとやらな、一般的に楽しいとされるキャンパスライフにどうにか慣れ掛けていた。

 いや、実はこれはこれで結構楽しいものなのだ。

 友達や女の子と楽しくお喋りして、巷に名高いテニサー、つまりテニスサークルあたりで爽やかに汗を流すのも結構それはそれでありなのだ。

 こうして、持病の中二病を、体を張って表現することもなく、一般人になる為のおれの人生が無事平穏に始まるかと思われていたのである。

 父上並びに母上、それに妹君、おれはこんなに立派な人間になりましたと、喜び徒然書き認めた手紙を送ろうかと考えていたくらいだ。