そんなおれの中二病もいつの間にか鳴りを潜めていた。

 いや、正確に言うならば、おれの体から外へは出なくなった。

 高校時代。大好きだった女の子の前で中二病の症状をモロに輝かせ、その女の子から身を裂くような視線で見られた後に口を利いてさえくれなくなった経験がおれの中二病を大人しくさせたのかもしれない。

 いずれにせよ。
 高校や浪人での生活が徐々におれを普通の人間にしていった。

 普通に勉強してそこそこの進学校に入って。一年間、浪人はしてしまったけれど、人様から褒められるような一流大学に一応入学して。

 言うなれば程々に順風満帆の、人生。

 しかし、酷く中途半端。

 別に大学の中でやりたいことがあるわけでもなく。

 何かの才能に恵まれているわけでもなく。

 これまで生きてきた中で本気で熱中したものはバスケと漫画だけ。どちらも途中で投げ出した。

 漫画に関しては、物語の途中で投げ出してしまいすらした。漫画を描き殴ったあのノートは未だ家にあるのだろうか?

 そんなことを考えながら生きていた大学一回生のときに、突如現れたあいつ。そのあいつが、おれの世界を変えた。

 とにかく。

 これは、中二病が中二病を呼ぶ世界で、極度の中二病であるおれが引き起こしてしまった、おれとあいつが繰り広げる中二病的破天荒物語譚である!