しかし、あのときとは決定的に何かが違う――。

 そう、何故かその女の子は、高校の制服を着ているのだ。紺色の、ブレザー型の制服を。そのブレザーによく映える、白と緑のチェック柄のプリーツスカート。

 黒髪長身美人の制服姿……萌、萌えーーーーーー!

 おれが、おれが制服萌えだとしっての狼藉か! いや、そんなこと、今はどうでもいい。高校は男子校だった故に制服萌えに磨きがかかっているが、それはおいておこう。

 だるそうに座っている彼女の、細い顎を支えている、左手。その二の腕には、腕章が付けられている。何か、腕章に書いてある。おれは凝視してみた。そこには、確かに『生徒会長』と書かれている。

 何ぞそれ。全く意味がわからん。今日は厄日か、そうか、そうなのか。それとも、少々遅めのエイプリルフールか何かなのか? 京都では一週間遅れでエイプリルフールがやってくるのか? 新入生歓迎の意を込めて、おれに宛ててのドッキリなのか? そうだと言ってくれ。

 何故、女子高生がこんなところにいるのか……おれに教えて、エラい人!

 立ち尽くしているおれに気付いたのだろうか、その黒髪の女の子は視線を上げておれの方を見た。

 目が、合う。知らず知らずのうちに人を誘い惹き込む夏の夜の闇を思わせる、黒い瞳。吸い込まれそうに、なる。