そのことを、入学式を終えてクラス別のホームルームの為にキャンパスへと進路を取るバスの中でもおれは考え続けていた。

 黒髪の女子の方に関しては、懐かしい――というような、何か心にグッとくるものもあった。しかし、黒髪の彼女と、もしかして何処かでお逢いしたことがあるのだろうかとも考えてみたものの、そのような記憶も無い。

 記憶の中を探せど、探せど、その懐かしさの正体は奥へ奥へと姿をくらませていくようでもあった。

 キャンパスへと向かうこのバスは、自身の一年時のクラスによってどれに乗るかが決められていた。

 入学式の数日前から、キャンパス内の掲示板にて予めクラス分けが発表されていて、おれはT2というクラスだとわかった。

 どうやら、クラス分けは英語に次ぐ第二外国語の履修登録を何語に指定しているかに依るらしかった。

 Tが何を意味するところのものなのかはおれにはわからなかった。

 きっと、何かしらの意味が込められているに違いないのではあるが、おれにとっては某高学歴芸人のピーマンのモノマネ並にその真意の在り処を理解しかねるものであった。

 各バスにはそれぞれ上級生も何名か一緒に乗っているらしく、これからの行動についての説明を行っていた。