掟破りの王子様

“大好き―”

この言葉、聞いたことがある。

いつも記憶の隅にある、

私を救ってくれた言葉。

この声の主が知るはずもない言葉。

でも…――

「王梨…ちゃん?」

私は目を開ける。

そこにいたのは、髪を後ろの低い位置にくくった王梨ちゃん。

でも、いつもと違う。