掟破りの王子様

「何笑ってんだよ」

そう言った理一くんの左手が元の位置に戻る。

『!?』

その瞬間、私の右手と理一くんの左手が微かに触れた。

赤くなる私の顔。

右手のひらは理一くんに捕らわれて。

5月なのに冷たい君の手。
私の熱い手はひんやりとした感覚に包まれる。

そんな手とは対照的に熱くなる君の顔。

照れ隠しの左手は今は私の手の中。

隠れることのない君の横顔が、とても綺麗に見えた。
赤い夕日と赤い横顔。

美しすぎて見とれてしまう。