プライム・レディ

「あなたは本当に変わらないのね。あの時の思い出が甦るようだわ」

 ベリルは彼女の肩を引き寄せてゆっくり歩き始めた。

「ねぇ、あの時の約束。覚えてる?」

「……」

 無言で目を合わせない彼に肩をすくめ、小さく溜息を吐き出すと笑みを浮かべる。

「ふふ……こんなおばさんじゃ約束も何も無いわよね」

「年齢性別は関係ないと言った」

 彼らしい言葉が聞こえて顔を見上げた。

「!」

 静かにキスが降りてくる……ほんの数秒がとても長い幸福の時間に思えた。

 離れていく彼の顔をじっと見つめる。

 その時──

「!」

 風か激しく吹きつけ彼女は目を閉じた。

 目を開けたときには、すでに彼の姿は無く……

「……ありがとう」

 遠くを見つめて微笑んだ。


 END


※作中に登場する一部の団体名や社名、武器関係などは創作に基づく物で実際のものとは関係ありません。