「あなたは人間として全てを愛しているのよ。だから、とても魅力的なんだわ」

「よく解らんな」

「それでいいわ。見てて、私はパパよりも会社を大きくしてみせるから」

 言い切ったあと爽やかな風を頬に受け大きく息を吸い込んだ。

「ね、私が大人になったら一度だけ会ってくれない? そのとき褒められるようなレディになってたら……っ」

 その後の言葉が出なかった。出せば泣いてしまいそうになる。

 目を細めて彼女を優しく抱きしめた。

「約束して……っ」

 泣かないように必死にベリルに強くしがみつく。

 彼はひと言も応えなかったが、少女は自分に誓うように強く目を閉じた。