「とめて!」

「!」

 帰路の途中、突然少女が口を開いた。

 そこは広い公園の前──車から出て公園に入る。

「ね、ベリル。私、ずっと考えていたの」

 周囲を見回し決意するように彼を見据えて微笑んだ。

「あなたはきっと、全ての人を愛しているんだわ。だから、1人に絞るなんて出来ないのよ」

「私は聖人君子ではない」

 苦笑いを返した。

「当り前よ。そんな人だったら好きになんてなってないわ」

 少女の言葉に肩をすくめる。