プライム・レディ

 深夜──ベリルはブランデーを片手にバルコニーで1人、椅子に腰掛けていた。

「ベリル」

 少女が戸惑いながら声をかける。少女らしい薄いピンクのネグリジェに、淡いオレンジのカーティガンを羽織っている。

「寝ないのか」

「ん……もう少し」

 グラスを傾けて遊ぶ彼をしばらく見つめた。

「ベリルには恋人とか、いないの?」

「いないね」

 彼の答えに少しドキリとする。胸の高鳴りを必死で抑えて続けた。

「気になる女の人とかは?」

「何故そんな事を訊く」

「! そ、れは……」

「……」

 言葉に詰まった少女を一瞥し、小さく溜息を漏らす。

「気になる女性はいない。これからもだ」

「どうして……?」

 少女の胸にズキリと痛みを与えた。