少女の父が住んでいる家まで、奴らから奪った車を走らせる。

「……」

 ベリルのような人たちがいるから世界は回っているのかもしれない……ベスはぼんやりとそう思った。

 この数日間は長いようでいて短いような、そんな感覚だ。

 今までも何度か狙われたことはあったけれど、こんな風に周りのことを考えたことはなかった。

 命を賭けながら命を守ることって……どういう気持ちなんだろう。

 少女は彼の横顔を見つめながらぼんやりとそれを考えていた。