「絶対イヤ! ボディガードだけは。それなら傭兵の方がまだマシだわ」

 もちろん意味も解らず言っているのだろう。

「いつもいつもボディガードに護られてどこへ行くにもボディガード! 気の休まる日が無いわ」

 と、いっぱしに少女は母親に意見した。

 ムサい男たちに周りを囲まれて息の詰まる毎日……半ば意地になって彼女は「パパの所へ行く」と言い出した。

 困ったのは両親だ。

 妻から電話で相談を受け、夫は頭を抱えた。

 仕事がまだ一段落していないいま帰る事は出来ない。月に一度は帰っているものの……少女が言っている事はそういう事では無いし。

「いや、待て。ベスは『傭兵の方がまだマシ』と言ったんだな?」

「ええ……それがどうしたの?」

「だったら傭兵に頼めばいいじゃないか! ガードの誰かに傭兵を頼んでみてくれないか」

「まあ! それは良い案ね」