「!」

 この車にぴったりと付いてくる車が2台見えて少女はシートベルトにしがみついた。

「あれがどちらの追手なのか解らないがね」

「え?」

「私も人気者なのだよ」

 恐怖で微かに震えている少女に笑ってウインクする。

 この状況で余裕を見せる彼に不思議と震えが収った。

「1本、遅れてもいいかね」

「予約してるのよ? だめ」

 長距離路線のアムトラックは1日1本ペースの鉄道だ。

 1本逃せば次は翌日以降となってしまう。

「……仕方ない」

 溜息を吐くと正面を睨み付けた。