「!」

 アムトラックの駅まで車を走らせていると後ろに不審な車が2台、一定の距離を保ちつつ付いてきているのが確認出来た。

「……」

 彼はバックミラーでそれを一瞥し、窓から右手を出して何かの動作をした。

 すると後ろで何台かの車が衝突した。

「! なっなに?」

「単なる衝突事故だろう、気にするな」

 薄笑いを返したがミラーを覗くとまだ数台が張り付いている。

 彼は小さく舌打ちをして勢いよく左にハンドルをきった。

「きゃっ!? ちょっと! もっとちゃんと運転してよっ」

「それはすまないね」

 だめだな……尾行をまけそうにない。

 ガードは先ほどの車にぶつかって阻止したため、いまガードはいない。

 ベリル1人でどうにかするしかない。