「……」

 リビングの入り口に立っている暗いスーツの男にエメラルドの瞳を向けるとその男は、

「頼むよ」

 という目をした。

 確かに傭兵も警護の仕事を請け負うことはよくある。

 しかし「たった1人の子供を護ってほしい」という仕事はさすがに初めてだ。

「少し彼を借りてもいいかね」

 先ほどの男を軽く示し、彼は溜息を漏らして立ち上がる。