「他の者を雇う方が良かろう」

「そ、そうだな……解った」

 話し合いを済ませリビングに向かいながら最終確認の会話を交わす。

「!」

 ああ、あれがエリザベスか……リビングにいる少女を見つけて心の中で確認した。

 綺麗にカールされた髪は母親譲り。

 大きな青い瞳に可愛く整った顔立ち。さぞかし自慢の娘なのだろう。

「奥様、実は……」

 言いかけたピエールに婦人は耳元でぼそぼそと何か告げている。

 そのあとピエールはベリルを見つめてゆっくり彼に近づいた。

「?」

 怪訝な表情を浮かべる彼に男はポン……と軽く肩を叩く。

「じゃ、そういうことで」

 にっこりと満面の笑みを見せた。

「は……?」