ベリルは知人に呼ばれて豪邸に顔を出した。

 知人というのは、ボディガードの会社に勤めている男で今はこの豪邸に住んでいる家族のボディガードの1人をしている。

 煌びやかなリビングルームに通され高級なティカップに香りの良い紅茶が注がれている。

 彼の前にはか弱そうな40代ほどの女性がじっと見つめていた。

 背中までの綺麗なブロンドが緩やかにカールしていて見るからに上品そうだ。

「……私は傭兵なのだが。その私に、ご令嬢のボディガードをしろ。と?」

 彼は眉をひそめて先ほど彼女が口にした言葉を再び確認した。

「はい」

 潤んだ瞳で応える。

 この女性のクセとでも言うべきか……彼に色目は利かないが強いてそうしている訳でも無いらしい。