しかし ざっと20人以上はいる子供たちが

単に理由もなく 外で遊ぶだろうか・・・

こんなに暗い時間にだ


ふと由里は

子供たちの側に立っている男性に

目が止まった


「この人・・・どこかで・・・」


真夏だというのに 男はグレーのコートを

首もとのボタンまでびっちりと留め

襟を立て しっかりと着込んでいる

頭にも顔が見えないほど

深々と黒い帽子を被っている


由里は このコートの男性を

知っているような気がした


とその時 『とおりゃんせ』の

順番待ちの列に並んでいた男の子が

パッと列から飛び出し

由里の元へ駆け寄ってきた


「おねえちゃん!こんにちは!」


「・・・こんばんわ!」


由里は この時間帯の挨拶の仕方を

少しイヤミに教えたつもりだった


『挨拶もまともに教えてもらってないのか』


子供というよりは

『親』に対しての不満が募ってきていた


もし自分だったら…

こんな無責任な事はしない


こんなに遅い時間まで

外で遊ばせておいたり


平気で挨拶の仕方を間違える子供にはしない



現に 自分の責任の持てない事は

自分で片付けた


その思いの方が強かった