刹那の憂い(セツナのウレい)

友行が言った。

まあ、そうなんだけど。

「ねえちゃん?ってことは、…これ、弟なんだ」

彼は、驚くと、くすくす笑った。

「何か、激しく似てないね」

謝りに来て、なんだその態度は!!

思ったけれど。

笑っている顔が、あまりに可愛い。

可愛すぎて、怒る気力が、失せてしまう。


「あの、ところでさ」


彼が言った。


「このマンションって、空いてる部屋、あるかな?」