「未来~!ジュースとって~!」


友達がマイク片手にそう叫んだ。
暗くなった個室に楽しげな笑い声。
流行りの曲のイントロが大音量で流れ始めた。


街はクリスマスムード一色。
24日の今日は、クリスマスイブということでその盛り上がりも最高潮だ。

カラオケボックスという、クリスマスらしさの欠片もない場所で、クラスメート男女十数人とささやかなクリスマスパーティー。

勿論彼氏や彼女がいないことが参加条件。
つまりココにいるみんながクリスマスに過ごす相手のいない寂しい人間という訳だ。


言うまでもなく
そんな相手のいないあたしは、このパーティーに誘われたのだけど。
はじめは正直参加したくなかった。家で過ごした方が楽だし、ケーキも食べれるし。

それでも
今、あたしがココにいる訳は
間違いなく彼の存在があったから。



「ねぇ蘭~!
次なに歌う~~?」

「蘭!デュエットしよ~よ!」

相変わらず女子に囲まれた
高山君。