さすがにこの人の多さでは
座ることは出来なかった。
あたしの隣には、高山君。
両手には大きな紙袋。
場所は地下鉄。
満員電車。
込み合う車内で
つり革を掴んで揺れに耐えていた。
…何故…、
今この様な状況に至ったかと言うと………、
遡ること2時間前。
来月にある文化祭の準備で、クラスで居残って出し物の用意をしていた。
「あ、未来チャン!
ちょっと買い出し付き合ってくれない?」
「え?あ、うん、いいけど…。」
あんまり話したことがない男子から、突然あたしに声が掛かって
不思議に思ったけど、断る理由もないから引き受けた。
その男子は、よく高山君と一緒にいる友達だったって
後で気が付いた。
それで
あたしが先に昇降口で待っていると、
やって来たのは
何故か高山君で、
高山君も
あたしが買い出しの相手だって知らなかったみたいで
あたしを見た時、凄く驚いていて「あのヤロー…」なんてブツブツ言っていた。
そういう訳で、
買い出しを済ましたあたし達は
学校に戻るために
電車に揺られていた。