そう言って目の前の男は
あたしの眉間をデコピンした。

「いっ、たぁ~いっ!!
何すんの!横田!!」

横田はヘラヘラと笑いながら「ごめんごめん」と心のこもってない謝罪をする。


横田とは1年の時からずっと同じクラス。
気を使わなくていい楽な存在。

男の子があまり得意でないあたしの、唯一の男友達。


「もー!!
代わりにあたしにもデコピンさせてっ!!」

「はっ!?
それは勘弁っ!!」



横田と騒いでいると、

ふと
高山君と目があった気がした。


けれど
次の瞬間にはもう、彼は後ろの席の男子と楽しそうに笑っていた。



気のせいだったのかもしれない。


それでも
さっきまでイライラしていたのが嘘の様に、

あたしの胸は高鳴っていた。