耳障りな高い声。

聞く度にイライラを増す心臓を抑えるように、
あたしは机に突っ伏した。


「やだぁ~!蘭おもしろ~い」

「蘭、聞いてよ~~」


さっきからこの黄色い声の中心にいるのが、

高山 蘭 ―タカヤマ ラン―


彼はいつもクラスの中心にいて、
自然と周りに人が集まってしまうような人気者。

その上、容姿端麗なもんだから女子からの人気も絶大な訳で。

彼の周りはいつも、あぁいう声で溢れてる。



煩い。
イライラする。

あたしの席が窓際の一番後ろで、
彼があたしの斜め前の前。


自然と視界に入る姿。

暖かな春風が、彼の茶色い髪を揺らす。
椅子に浅く腰掛け、背もたれにもたれた後ろ姿。
紺色のブレザーを羽織った、細いけど広い背中。
群がる女子に愛想良く返す笑顔。


ずっとずっと見てた、
その姿。

1年の時から、
ずっとずっと見てた。