「…げっ!!」

無人の下駄箱にあたしの声が虚しく響いた。


外を見れば、鼠色の空から落ちた雫がシトシトとグラウンドをぬらしていた。


くそ~、さっきまで降ってなかったのに~~!!

委員会で遅くまで残っていたから、もう生徒は殆ど残っていない。


「はぁ…、最悪。
傘持って来てないし……。」

今朝のテレビでは、雨が降るのは夜からだったはず。
委員会でいつもより遅くなってしまったけど、まだ6時。夕方だ。

「…まりチャンのバカ…。」

お天気お姉さんに文句を言いつつ、あたしは制服のポケットから携帯を取り出した。


家は学校から結構近いけど、さすがに走って帰るには…。
きっと家に着く頃にはびしょ濡れだ。

お母さん…迎えに来てくれないかなぁ…。
………。
……………無理だな。

確か前も迎えに来てもらおうと電話したけど、「近いんだから走って帰ってこい」って言われて切られたっけ。


「……はぁ…」

ぬれて色の変わったグラウンドをぼんやり眺めながら、あたしは取り出した携帯を再びポケットにつっこんだ。