「彼女は?職場の…」



「すぐに別れたよ…今さら言い訳にしか聞こえないと思うけど…。」



貴士はタバコに火を点けた。 



「入社したての頃、同期の奴らより仕事出来なくてさ、結構へこんでたんだ。」



「彩香のことかまう余裕もないし、遊んでばかりの彩香が嫉ましくて…相談してるうちに『彼女はあなたのこと愛してないのね』とか『私が彼女なら放っておかない』なんて言われてその気になってた…」



「彩香と別れて数ヶ月して彼女とも別れた。彼女を好きだったわけじゃなかったんだな…」 



「失って、彩香の存在の大きさに気付かされたんだ。でも、別れを切り出した手前…寄りを戻してほしいなんて言えなくて…。」