その巫女は、顔立ちが美しいことで有名でした。

そこで、その巫女を一目見ようと、都中の貴族が神社を参拝していました。

しかし、巫女に近づくことは、容易ではありませんでした。

神に仕える者として、巫女は拝殿の奥、御簾の後ろから出てこなかったからです。

誰も巫女の正体を知らないのに、美人という噂だけが広まるのは不思議ですね。

(つづく)