―――ポン。

ふいに、頭に何かが置かれた。

でもそれは――決して不愉快なものではなく、むしろ安心出来て――このまま流れに身を任せて、その広い肩に首を預けてしまいたくなる――。

「七江?」

ハッ。

頭上から聞こえた声に、意識が現実へと戻される。

座高の違いに…3年の空白を感じた。

「あ…お母さん、何だって?」

「30分もすれば、迎えに来れるって」

「そう―――…」

30分。貴方とふたりでいられる時間。

別に、もう二度と会えなくなる訳ではないのに――。

酷く、短く思えた。

「……で、お前さぁ」

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