「…あっ。母さん?…え?あ、そうそう。七江と一緒。でさー…」 相手と繋がったのか、携帯電話から時折もれる、中年の女性の声。 「…?」 ふと気がつくと、朱馬が自分に向けて何か手で合図している。 "つっ立ってないで横座れ" 多分…そう言っているのだろう。 特に断る理由もなかったので、素直に空いているベンチの右半分に腰掛けた。 .