「あの、なんで、・・・蒼井の名前、『旭』、にしなかったんですか?」 「あぁ、そのことですか」 加寿子は、懐かしげな表情をすると、首もとにあったメガネを机の上に置いた。 「実凪の、実父と実母が亡くなって、私たちの元へやってきたとき、主人と決めたんです」 「・・・」 黙ってその話を聞いた。 あぁ、旭さんは、こんな状態になっても、アイツのことを『主人』と言うのか。 旭さんは、一体アイツのどこに惹かれたんだろうか。 一瞬、そんなことが頭によぎった。