裕美に見せ付けるように花を差し出す。


小さな小さなかすみ草のブーケ。


それを手にして、改めて校舎を見渡す。


憧れてきたお姉ちゃんの通う学校。


今はまだ、不安なんてなくて。


ただただ楽しみで仕方なかった。


裕美はたくさんの大きな花を取り終え、一本のかすみ草を取る。


「よく見りゃ可愛いかも」


あたしに微笑みかけながら裕美が言う。


「でしょ?」


あたしはまた何本かかすみ草を取って、ブーケを大きくした。


少しの風にも揺れるそのブーケを握り締めて。


あたし達は体育館をあとにした。