圭介の家の一つ前の曲がり角。


あたしが立ってもう一時間。


もう家には帰り付いた後だったのか、それともまだ遅いのか。


さすがに疲れてその場にしゃがみこんでしまう。


「大丈夫ですか?」


懐かしい声が頭上から聞こえる。


顔を上げると前よりも格好良くなった圭介がいる。


「由紀奈!?」


驚いたように声を出す。


あたしが頷いて立ち上がると、圭介が昔のように笑う。


「何してんの?こんな所で」


あたしは大きく一回深呼吸をして、ゆっくり口を開いた。


「圭介を待ってたんだよ」


「…………俺?」


かなりキョトン顔の圭介の目を見ながら、あたしはゆっくり頷いた。