「圭介、今日来る?この前言ってた映画のビデオ借りたよ」 ある日の放課後。 少し浮かれた気分であたしが聞く。 だけど、圭介は浮かない顔で首を振った。 あたしはそんなに暗い圭介を見たことがなくて。 心配で圭介の机の近くに椅子を運んで座った。 「何かあったの?」 あたしの問い掛けに、圭介は顔を伏せる。 しばらくの沈黙のあと、ぼそっと言った言葉はあたしを固まらせた。 「振られた」 あたしは信じられなくて、黙ってしまう。 振られたって誰に? そればかりが気になって仕方がない。