「その『好きな人』ってのは結局、お姉ちゃんだったけどね」


あたしが付け足すと、裕美が気まずそうな表情。


俯いて黙ってしまって、掛ける言葉を捜しているように見える。


あたしはそんな裕美に申し訳なく感じて。


そっと近づいて肩を軽く叩く。


「裕美が気にすることないよ?もう完璧に終わったことだもん」


あたしの言葉に裕美は顔をゆっくり上げる。


真っすぐあたしの目を見つめる。


「じゃぁ…」


ゆっくり、少し躊躇うように言う。


「その髪は、今誰のために伸ばしてる?」


思いも依らぬ質問に、あたしは固まる。


しばらく経っても、あたしは答えることができなかった。