また前を向いて、裕美と話しだす。


だけど。


隣のアイツの視線が痛くて集中できない。


「五限は体育かぁ…短距離とか超だるいし」


裕美が時間割りをみながらぼそっと言う。


一方のあたしはそのことを思い出して慌てる。


「髪結んでないや!!」


立ち上がるあたしを見て、裕美が言う。


「トイレ行く?」


あたしは頷いて鞄からポーチをだした。


教室を去ろうとして、北沢くんとすれ違う。


その瞬間に、彼が言う。


「どうしたら信じてくれる?」


あたしは彼の目は見ずに、無理と答えた。


向きを変えて一歩出た瞬間、あたしの長い髪が彼に触れた気がした。